今年のISPGRでは、賞の審査にも関わらせていただくことができました。
最後のミーティングでaward committee memberとしてacknowledgeされていたので名乗っても大丈夫のはず。
今までは、なんとなく、いい研究が選ばれる、という程度のものだったのですが(そしてそれは決して間違っていないのですが)、
やってみて感じた、審査基準とかプロセスとかについての雑感です。
少なくともISPGRに関しては、事前のCOIをチェックし、複数人で評価しており、かなり公平な印象です。
私に声がかかったのも、審査メンバーの中にアジアの人がいないのが不公平だから、という理由でした。
ただし、その「公平な審査の基準」は、ある程度は欧米の文化の暗黙の了解に基づいているので、特に日本だけで過ごしている学生には分かりにくい部分もありそうです。
ISPGRでは、総合的によさそうなのを3つ選ぶとかではなく、評価基準に則って、"evidence" に点数をつけることが求められます。
その基準は、たとえば、student award だと、contribution/understanding とか originality (勿論、ほかにもある)とかだったりして、
もう一つ上の award だと、international collaboration とか、supervision とかだったりするわけです。
contribution というのは、その実験系は自分自身の着眼に基づくものなのか、とか、大規模RCTのどの部分を自分が担当しているのか、とか、そういう意味です。
この項目の evidence を評価する必要があるので、ポスター/スライドに、どこまでが他人の仕事でどこからが自分の仕事なのかを、書いていた方が評価しやすいわけです。
本人が書いてくれていない場合は、なんで別の指標じゃなくてその評価指標にしたの?、とか質問をすることになりますが、ここで、ボスに言われたから、とか答えちゃうと厳しいです。
international collaboration は、日本人からすると必然的に intercontinental になるので、不利だと思います。。。
(なので、award committee co-chair に、この辺りは配慮してね、とお願いしておきました)
ですが、一人前の研究者として認められるためには、国際的に影響を与えられる人でなければならないのは間違いないので、ポスドクあたりからは意識した方がよいでしょう。
supervision は、学生や後輩の指導で、特に助教になったあとに自分がコレスポの業績をもっていると、evidenceとして効きます。
これも、おそらく tenure-track assistant prof. で独立した人、最初の数年の仕事、みたいなのが想定されていると思われるので、独立していない助教ポジションだと厳しいかもしれません。
とはいえ、2ndには入ると思うので、それぞれの論文でどういう貢献をしたのかをCVに書いてくれると、evidenceの評価ができます。(むしろ書いてくれないとno evidenceと言わざるをえない)
学会の仕事をしていると、science - behind the scene なことが少しずつ分かってきて、(私にとっては)面白いです。
ISPGRは、Award Committee だけでなく、他の委員会もメンバーを公募しているので、立候補してみることもできます。
Regional diversity を重要視する学会で、Asia (Japan) は立候補者が少ないため、たぶん尊重してもらえると思います。
ぜひ、いろいろやってみてください。